
投稿日時:2017. 10. 27
編集者 :岡崎 恵大
ガットのテンション考察〜私が30ポンド台でガットを張る理由〜
私は35ポンドでガットを張っている。
。 。 。 え?
多分、この数値を見た人の大半は「ゆっる!!!」「うそでしょ?」
「そんなの飛びすぎて無理でしょ、、」といった感じだろう。
そう思うのも無理はないだろう。
というか、自分のテンションが一般的に見て異端であることは認める。
逆に異端児扱いされるのが少し嬉しかったりもするのだが(笑)。
世間一般的に、「普通」のテンションといったら50ポンド前後だと思う。
45ポンドで「緩め」、55ポンドで「硬め」といった認識だろう。
実際に、45ポンド〜55ポンドの間で張っている人がほとんどではないだろうか。
しかし、私はおふざけでもなんでもなく、自分のテニスをより良くするためのベストな選択であると思って35ポンドでガットを張っている。
もっとシンプルに言ってしまえば、試合に勝つためにたどり着いたのが35ポンドなのである。
それもまあまあハードヒットする若い男子学生の自分が、である。
なぜなのか。それにはちゃんと理由がある。
■ 緩く張ると、ポリエステルストリングの性能を引き出せる。
ラケットの軽量化、高剛性化、低衝撃化が進み、最近のテニス選手はブンブンラケットを振り回す。
特に若い選手ほどその傾向が顕著である。
そんな今日の競技テニスシーンにおいてガットの主流は間違いなくポリエステル(以下ポリ)だ。
独特な球持ち感、強烈なスピン性能、飛びの抑えが効くことによる高いコントロール性能と、ボールを潰すことで生まれるパワーがポリの魅力である。
それらの特性が、ラケットを振り切って強いボールを打っていける安心感に繋がり、選手層の支持を集めている。
だが、そんなポリにもデメリットがある。
それは、打感が硬い、衝撃が大きい、飛ばないということだ。
これらのデメリットは、スイングスピードが遅い時に特に感じられる。
ポリはガット自体が硬く、ナイロンやナチュラルに比べてたわみにくい。
つまり、ポリの美味しい部分を感じるためには、速いスイングスピードが必要なのである。
そこで、ローテンション(30~40ポンド程度)でポリを張ると、遅いスイングでもポリの美味しい部分を享受することができる。
ポリの性能を引き出せる幅が広がるのだ。
実際、私も最初は50ポンドでポリを張っていた。
しかし、ラリーの中などで守備的なボールを打ちたい時、相手に追い込まれた時や、ボレーやスライスなどのタッチ系ショットを使う時に、ポリの硬さとパワー不足を感じてしまった。
ナイロンマルチとのハイブリッドも試してみて、柔らかさと飛びは良くなったものの、ガットが一瞬(2~3日。ポリ単体だと一週間。)で切れてしまうし、ポリ単体の方がスピン性能が良く感じたので結局戻してしまった。
そんな時に、ポリ単体でもテンションを落とせば扱いやすくなるのではないかと考え、実行した所それがドンピシャにハマった。
遅いスイングスピードでも柔らかさとパワー、ポリのいいところを感じ取れるようになったのだ。
逆に、テンションを落としてもポリガット自体が硬いので面はしっかりしていて、コントロール性が落ちるということはなかった。
むしろ、スピンがさらによくかかるようになったので、打球のおさまりも良くなった。
それからどんどんテンションが落ちて、現在の35ポンドに至る。
テンションを落としたことで、プレーに余裕が出たと感じる。
この先もう少しテンションを落としてみようとも考えている。
・ポリを50ポンド前後で張って硬さ、パワー不足を感じた人
・ハイブリッドの感触は好きだが、スピン不足を感じる人
・ミスを減らしたい人
・ポリを使いたいが、肘が痛くなった人
・ポリユーザーでタッチ系のショットを良くしたい人
・ボールを掴む感触が欲しい人
これらのいずれかに当てはまる人は、是非ポリのローテンション張り(30~40ポンド程度)を試してみてほしい。
非常におすすめである。
ポリではなくても、テンションを落としてみると新たな発見があるかもしれない。